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園長のことば

2016年2月26日)作品展へようこそ!

 幼稚園のこどもたちは、それぞれの一年を、素晴らしい成長の足跡を記しながら、はしりすぎていこうとしています。
ももぐみの天使たちは、背中に付けた家族の暖かい眼差しを双翼にして、あたらしい世界を仲間と連れだって飛び回り、ようちえんの毎日を楽しんでいます。
あかぐみは、日々新しい体験を重ねていく中で、自分の中に育っていく新しい力を発見し、勇気づけられて、たくましい成長を見せています。
最年長のあおぐみは、常に目新しい課題に挑戦する機会をあたえられ、それを成し遂げていく緊張と達成感を推進力に、誇り高く、胸を張って、先頭を走っています。
そして今、すべてのこどもたちは、一世一代の芸術作品を仕上げました。
ひとりひとり、絵筆を握り、または鋏を動かし、粘土をこね、無表情の素材の中に生き生きとした魂を吹き込みました。
前から後ろから、上から下からも確かめ、自分の気持ちにかなうよう修正し、素晴らしい自己研磨の時を過ごしました。
その集中力と目的に向かっていく粘り強さは、それまで受けた御家族やまわりの人たちの暖かい励ましと手助けの中で生まれた自尊心のおかげにほかなりません。そして今、いっぱい積み重ねられた心の中の記録を手掛かりに、それぞれの作品を仕上げました。
人類だけが新しい発想のもとに物を作り、感動を絵画にして仲間の共感を求め、心の高ぶりを土偶や彫像にとどめてきました。
全ての優れた人類の記録は、自分や周りの世界を見つめる作者の心から生まれます。
心の中に蓄えられた感動と喜びのエネルギーを解き放つところ、それが作品展です。展示されている作品の一つ一つから、作者の心の様を、そしてそこに至るまでの作者の心の旅路を、ご覧に下さっているみなさまが読み取ってくださいますよう、願っております。
作品を作り上げているこどもたちは誰もがたのしそうで、そばを通りかかるたびに笑顔を向け、今手がけている自分の作品を自慢げに見せてくれます。今まで気づかなかった自分の中の力が見えてきて、驚きを交えた嬉しい気持ちを味わっているに違いありません。
どのしぐさもかわいらしく自信に満ちていて、日頃からまわりの人たちに大切に思われていることが分かります。
そして自分がそれに応えることができる確信を抱いています。
其の誇らしい気持ちが余裕となって、大胆で独創的な表現がうまれています。ともだちの作品にも敬意を持って接している様子がうかがわれます。
心を伝え心を読み取る、それがどんなに大切で、そしてどんなに沢山の努力が必要であるか、友達が増え、その仲間とより良い間柄を深めていく道筋を探るうちに、次第にわかってきました。
おともだちのできる素敵な良いことは、自分もできるとおもう。自分の力もわかってもらいたい。たくさんの素晴らしい力を身につけて、皆に分けてあげたい。こどもたちは、其の気持ちを心に秘めて毎日を過ごしていることでしょう。 
美しいもの、優れたことは、人の心を豊かにします。私たち大人は、自らの振る舞いの中でそれを示し、彼らの心の現れに、そのかがやきの一つ一つに、大きな感動と協賛の気持をしっかりと伝えていかなければならないのだと思っています。

2014年6月7日)幼児教育の孕む危険性

少子化のなかで、働く母親を助ける為に、幼稚園の保育園化を国を挙げて推進しつつあります。
全ての社会の活動における男女の平等、優れた労働力の確保、いずれの面から見ても、緊急の課題となっています。
しかし、立場を変えて、生まれ出てくる新しい立場に立って考えると、自分にとっては、歓迎される度合いの少ない、辛い情けない、淋しい世界が待っている事になってしまうのかもしれません。
芥川龍之介の著書「かっぱ」では、カッパのアカチャンが生まれ出る寸前に、産婆さんがおなかのアカチャンに向かって、「あんた、生まれたいの、それとも生まれたく無いの。どっちかい。」と問い掛けますと、おなかの赤ん坊が、「外の世界は暮らしにくそうだし、父親のわるい遺伝もあるから、生まれるのはやめる。」と言ったりします。
それを聞いた産婆のカッパが、何やら産道に吹き込みます。すると今まで大きかった産婦のおなかがみるみるしぼんで、バツの悪そうな父親を残して何事もなかったように一件落着、となります。
今、日本中で吹きまくる、0歳児からの長時間にわたる保育機関の増設には、大人の立場だけを考えて、生まれ出ずる新しい生命のことをないがしろにしているのではないかと思います。
我が子の誕生を心から待ち望み、宇宙の根源に居座る創造の神の意思のもと、出産の苦しみを受け入れ、そしてついに得た我が子の産声に、限り無い悦びと誇りに満たされた母が、全ての人々から賞賛され、支えられて、自らの手で子育てに専念できてこそ、豊かな文明社会のすがたであろうと思います。

2013年2月6日)作品展開催にあたって

 生まれて間もない赤ちゃんを見るたびに、その心の中に何があるのか、何を、どのように感じているのだろう、と、まわりの大人たちは一生懸命赤ちゃんの気持を読み取ろうとつとめます。2歳も過ぎれば片言も始まり、マジックペンで幾筋もの線をひいたり、色の雲をお父さんやお母さんです、と説明してくれます。
そうやって幼い子供たちは、心の中を、私たちに教えてくれます。経験する世界が広がれば、粘土細工やお絵かきの中身も豊かになります。心躍る楽しい経験が多ければ、それだけ心の中も豊かになって、それを伝えあううちに言葉の数を増やし、周りの世界とより深く心を交わすことができます。まわりの大人たちは、それらをとおして子供の気持ちを読み取ることができますね。そして、お互いの理解が深まります。
 ことりぐみのみなさんは、青い鳥幼稚園生え抜きの、子育て経験豊かな素晴らしい先生の羽根の下で、のびのびと楽しい日々を過ごしています。大好きなおかあさんのいないところで、少しの不安も見せないで、自分のことを進んでできるようになりました。お友達とおもちゃを分け合いながら元気よく遊ぶことができます。おうちではめったにしない、走りまわってめちゃくちゃ遊びや、両手べたべた絵具あそび、いつでも大切に遊んでくれる、沢山の年上のおともだち。今では幼稚園みんなのかわいい大切な仲間です。おもちつきでも豆まきも、幼稚園全員の声援を受けました。笑顔と自信たっぷりな言葉が、それに応えていました。
 ももぐみさんは、沢山のおともだちができました。いろいろなおもちゃを使い、役割を決めて、お母さんになったり怪獣に変身したり、遊びが深まってきました。仲良しの仲間も増えて、気持ちを伝えあう言葉が多彩になっています。絵の中に描く登場人物も多くなり、色鮮やかな花の上をかわいいとりが飛んでいたりします。
 あかぐみさんの毎日は、とても刺激的です。友達の経験や知識を積極的に取り入れ、運動能力を高め、すべてにわたり変化の歩幅が大きく広がりました。粘土細工にしろお絵かきや制作の手順でも、自分の考えと、それを実現する体や手先の働きとの、云うに言われぬ一体感を楽しんでいる様子が見られるようになりました。
自分に目の前に、きっと手に入れようと思う宝の世界が広がってきたことに、驚きと喜びのまなざしが見えます。
 あおぐみさんは、心に浮かぶイメージの質が一段と高くなって、過去の経験から一歩抜け出した、独創的な、新しいことに強い興味を示すようになりました。未知の世界を求めて、さまざまな分野の本を読み漁っています。日々のあそびの多様性をバックボーンに、逆上がり、高度な縄跳びへの止む無き挑戦と工夫、新しい言葉と表現の習得などのなかに、目的達成への揺るがない確信が見えています。常に最年長の誇りと自信を胸に、あらゆる場面で指導的立場に立とうとしています。
 青い鳥幼稚園のこどもたちは、遊びの楽しさや教室での達成感の繰り返しの中で、言葉の数を増やし、仲間の中での自分の存在に自信を深めて、其の時々の心の高まりを歌の会、運動会、遊戯会で披露してくれました。
 3学期を飾る作品展では、心の中にたぎる成長の喜びを、大好きな人たちへのメッセージとして表現しています。
子供の絵や制作の価値は、技術の優劣にあるのではなく、その中に心の窓が開かれていることにあります。
生まれて間もない赤ちゃんの動きの中からそのこころのなかを覗こうとしたあの情熱で、こどもたちからのメッセージを作品の中から読み取ってください。
そして読み取った感動を、一つ一つ、具体的に話してあげてください。
こどもたちは勇気づけられて、さらなる自己充実に励み、自分を表現する歓びと自信を手に入れることでしょう。 

2012年12月18日)祖父母・父親参観を終えて

 たくさんの、おじいちゃん、あばあちゃんが幼稚園に来て下さいました。
遠くは北海道や四国から、そして92歳のおばあさまもお出かけくださいました。
皆さんが、大勢のまえで自己紹介するご様子に、こどもたちは、いつもと違ったおじいちゃん、おばあちゃんを発見していました。そして、肩を叩いてあげたり、抱きしめていただいたりして、大喜びでした。
ご一緒に歌って工作をして、おやつも食べました。
ほんとうに嬉しそうな孫たちの様子に、おじいちゃん、おばあちゃんはずっと笑顔で、ひとつ一つうなずいて下さっていました。
そして和やかに、こどもたちを元気づけてくださいました。
そのあとで、お父さんたちの授業参観がありました。
大勢のお父さんたちが教室に入ると、力強さと頼もしさで、幼稚園の建物までが頑丈になったように感じられました。
お父さんたちの自己紹介は、中身は違っていても、ちょっと面白くて、こどもたちはとてもうれしそうでした。
一緒に作った工作は、おじいちゃん、おばあちゃんのきちんとしたできあがりにくらべると、型破りの元気作品が多く見受けられたと思います。
こどもたちの表情やしぐさに、ご先祖たちの面影が生き生きと移り住んで、おじいちゃん譲り、おばあちゃん譲り、お父さんの素敵なしぐさ、おもざしなど、かけがえのない宝物をいただけたことがわかります。これからもずっと大切に持ち続けていってほしいと思いました。
 そこで、おいで下さったみなさんに、「どうか、こどもたちの神様になっていただきたい、」とお願いしました。
神様は、楽しい夢を与えてくれます。本当に後悔しているときには、私たちの過ちを許して下さいます。そして、未来に向かって適切な神託を下してくださいます。優しさと厳しさと、そして今の自分にはとてもかなわない素晴らしい力を持っていらっしゃいます。こどもたちが自分の一番身近な家族の中に、希望と導きの星を持てたら、どんなに心強く思えることか。
 言葉という力を手に入れ始めているこどもたちが、自分たちの記憶の一番基礎のところに、ご家族の愛情の輝きをしっかりと持つことができますように。
そしてこれから先、ご家族の愛情と力を心の守り神として、問いかける神として、護持することができますように。
神様は一人よりも、たくさんいらっしゃったほうが心強いと思いますが、いかがでしょうか。

2012年10月3日)運動会を終えて

 天候に恵まれ、最後まで会場を走り回ってくださった連絡員の皆様、朝早くから会場の準備に力一杯働いてくださったお父さん、お母さん、おじいちゃん、そして山崎小学校の校長先生はじめ多くの先生方、皆様のご協力で始めることができた運動会が、子供達の笑顔で無事幕を閉じました。
卒園した小学生達が、全速力で走りぬけて行ったあのがんばりも、後輩たちに強い感動を与えてくれました。
皆様に心より御礼申し上げます。
そして、数々の種目に自分の力を精いっぱい出し切って、最後まで主役をやり遂げた、桃組、赤組、青組の子供達に、驚きと称賛のおおきな拍手を送ります。
 夏休みが終わって、心も体も大きくなった子供達に対し、先生達は運動会のお話を致しました。
晴れの舞台で、仲間と、素晴らしい活躍を繰り広げている子供達自身の姿を謳いあげ、描き続けました。
青組さんや赤組さんにとって、パラバルーンや組体操、騎馬戦や組対抗リレー、どれも見たことのある、挑戦意欲を掻き立てるに十分な目標です。
桃組さんは、いつものように、楽しい、面白いことをするたびに、「じょうず!おうちのひとたちにみせてあげよう!運動会でね!」で始まりました。
運動会の種目は、日ごろ学習していることの集大成と、運動会のための種目とに分けられます。
桃組さんは、入園してしばらくは,前の人の肩に手を置く「きしゃぽっぽ」行進をしていました。
2学期が始まって、朝礼の時、お部屋に入る時、いつでもきちんと整列できるようになりました。それを基準に、先生達はさまざまな隊形変化を取り入れた種目に発展させていきました。
赤組さんは、1学期からのパラバルーンを使った授業を次第に発展させて、運動会に発表した形に仕上がりました。
青組さんは、組体操の基本技をしっかり習得して、仲間との共同作業、連動動作と次第に高度なマスゲームへと進んで行きました。
どの学年も、子供達の歓声と拍手、真剣な顔と誇らしい笑顔が繰り返されて、先生達の驚きに似た褒め言葉が、子供達一人一人、そして先生との心をつなぐ磁石のように聞こえていました。
そして、2週間ほどの練習を終えて、運動会が開催されました。
子供達は、目的達成の充実感と、自分の可能性を認識できたうれしさを共有させ、これからの新しい挑戦に、正面切って進む勇気を与えてくれたことでしょう。
 私達が、直接目で見ている自分の姿は、せいぜい手足ぐらいのものです。一方、外からは、一人一人が心に描いている自分像を直接見ることはできません。
そこで、先生たちは、指導するにあたって、こうあってほしいと希望するかたち、要求している課題を、子供達が自分の姿を思い描けるように導いていかなくてはなりません。一方の子供たちは、与えられた役割の中で、全体の隊形、手順、タイミング、すべてに自分の動きを合わせて、しかも精いっぱいカッコよく自分をうちだしていかなくてはなりません。これは、役割という強制が働いた、といえるでしょう。
子供達がその強制の正当性を理解し、その中でいかに自分を表現し、向上していく意欲をどのように、そしてどの高度まで自発的に燃え立たせることができるかは、大人である私達にかかっている大きな課題です。
日頃から、温かい愛情のなかで、自分を認め、自分の大切さを映し出してくれている、親しく尊敬している人を通して、目指す目的の価値と、自分の役割の大切さを知った時、子供達は、進んでその強制、決まりごとを受け入れ、その中で最大限の自己表示、自己主張を致します。
運動会で活躍している子供達を見て、オリンピックの選手を思い浮かべていました。その種目の中で一番興奮するのはマラソンです。
際立った器具を使うわけでもなく、ただ自分の肉体の可能性を自ら信じ、世界に自分の力の偉大さを示す大勝負に打って出た人たちの集まりです。
競技に臨んだ彼らは、自分の価値を信じ、ただ自分の存在を全世界に知らせようとする、いわば「自己中」の極にあるのだと思います。
でも、戦い終わったメダリストたちが異口同音に、自らの意欲と努力を支えてくれた人々、自分を取り巻く社会に感謝の言葉を繰り返し述べています。
社会と個人の間に、お互いの評価、愛情の、繰り返し交流がある時、人は優れた才能を発揮し、その自己を実現していくことができます。そして、その強い自己顕示が個人と社会の双方を、より高い感動の世界へいざなってくれるのです。
両親から愛され、両親を尊敬し、先生に理解され、先生を信じ、友達を大切に、そして友達から大切にされ、未来に向かって一歩一歩成長していく、青い鳥幼稚園のこどもたち一人一人に、すばらしい世界が開けますように。

2012年5月17日)新学期が始まりました☆

青い鳥幼稚園の新学期が始まりました。4月23日の歓迎会で、年長組のお兄さんおねえさんからお手製のお面のプレゼントを頂き、25日に、誕生日会をいたしました。毎年、4月の誕生日会は、これからの1年、こどもたちの成長を表わすグラフの座標原点として、興味深く観察しています。
お誕生日会では、それぞれの学年で、お誕生日をむかえたお友達がみんなからおめでとうの祝福を受けます。その後の自己紹介で、自分の好きなこと、将来の希望を述べます。
全員で集まってのお祝いをしたりされたりするときの整列の様子、お話を聞く態度など、毎月行われる行事ですので、子供たちの成長の進み具合がよくわかります。
4月の誕生会では、3歳のももぐみさんから4歳のあかぐみさん、最年長のあおぐみさん、と入場が進むうちに、ももぐみさんのおしゃべりがだんだん静かになってきました。最後のあおぐみさんが入場して、静かな‘前へならえ’のあと、前から順に、風にそよぐ草原のような無言の着席を済ませるころには、会場全体が、青い鳥幼稚園のお集まりらしく、静かに始まりを待つ、明るいまなざしの子供たちでいっぱいになっていました。
あかぐみさんやあおぐみさんたちは、むかしの自分を、新しく入園してきたももぐみさんの中に感じ取っているのかも知れません。自分たちが大きく立派に成長していることを、後輩の新ももぐみさんに見せてくれました。登園、帰宅のバスの中で、小さいお友達の手をとり顔を覗き込んで話しかけ、困ったことがあったらいつでもぼくがわたしが、と手ぐすね引いて待っているおにいさん、おねえさんの様子が、なんともうれしくありがたいと、先生たちが感激しています。
 
あおぐみさんは、記念写真を撮る時も、おもちゃの片付けをする時も、すべてにお手本を示してくれます。教室のある二階の広い空間で、ピアノを弾き比べたり、一冊の本を中にして、あれこれと知識を出し合ったり、ブロックやおもちゃを組み合わせていろいろな世界をつくりだしたり、大きな夢のある小さな世界を作り上げています。全員が仲間であることを楽しみ、お互いを大切に思う気持ちが高まっていく様子が見えます。あかぐみ時代からの共通した決まり事を基にして、自分たちで考えた新しいルールを決めたりすることに挑戦しています。先生たちは、その様子をいつもほほえましく思いつつも、調和のとれた、より良い仲間作りができるように助言したり、励ましたりしているところです。
あかぐみ時代にくらべて、より長く、集中して話を聞き、自分なりの判断や創意工夫を求められている教室でのお勉強や園庭での体操にも、果敢にたちむかっています。
強い自分とやさしい自分、自分の考えと友達の意見、正しいこと、いけないことの見極め方、と、自分たちの世界が広がるにつれて、日々心の中に未来に通じるであろう規範作りが始まっています。
先生たちは一人一人の意欲が高まることを願いながら、注意深い指導をかさねています。
 
あかぐみさんには、何人かの新しく入園してきたお友達がいます。興味深いことに、毎朝の挨拶から、園庭や教室でのあそび、いろいろな決まりごと、おべんきょうの進め方、どれを見ても上手にこなしています。ももぐみさんから進級したお友達が、新しく加わったおともだちに、積極的に話しかけたり、自分たちの輪に誘ったりしてくれます。そして、みんなが新しい、たくさんのともだちを増やしたことになりました。
親切に手を差し伸べあっているお友達の優しい気持ちがとてもうれしく思えます。
体操の授業での、始まりと終わりの挨拶、整列の仕方、実技を受ける時の順番の待ち方も、初めてとは思えないくらい、自分で工夫している様子が見えます。
あるお友達が、なぜ朝のお便り帳がももぐみさんのものと同じなのか、不満げに先生に質問しにきました。そこには、今の自分は、ももぐみさんより一段も二段も上を行っているという意気込みが感じられます。
歌声も授業での声の出し方も、そして機敏さを増した体の動き、会話の展開の速さでは、あおぐみさんに負けないものがあり、遊び時間の元気いっぱい、笑い声たくさんのあかぐみさんは一歩一歩、未来に向かっての階段を上っています。
 
ももぐみさんの教室には,4月のあいだ、園長先生はじめ、たくさんの先生たちが教室にはいっていました。おうちでお母さんやお父さん、家族の皆さんからの愛情でおなかいっぱいになっているかわいい子たちです。どの子にも、おうちの外の世界に、もうひとつ、自分の大好きな居場所を見つけてもらうために、毎年この時期に、子育て経験のある青い鳥幼稚園の先生であったかたたちが、お手伝いにはいってくれます。初めのうちはおもちゃと自分、先生と自分、はやくおうちにかえりたい自分、で満たされていた教室も、5月のハイキング前には、お友達同士の集団ができてきました。ブロックで長い道路を敷設して、何台も自動車を走らせるている集団、本を選んできて、みんなで読んでもらう集まり、仲間がほしくて自分が持っているおもちゃを貸し出してまわる男の子、カラフルなスカートを身につけて、変身をしている一団、毎日、小さな積み木を積み上げることに熱中し、黙っていてもたくさんの助っ人を集めた男の子、そして今は、教室のあちこちに、スカイツリーならぬ積み木ツリーがにょきにょき立っています。
園庭で、ピンクの帽子が、ほかの色に交じって一緒に遊んでいます。朝礼での整列や、お部屋に入るときの歩き方、てあらい、うがい、制服の着替え、どれをとっても大変なことのはずですが、その進歩の速度はおどろくほどです。何よりの力は、いつも変らぬ先生の笑顔と根気強く繰り返される手助けです。今では、口を閉じ、しっかり先生の顔をみて、お話を聞くこともできるようになってきました。おもちゃや道具のおかたづけの速さも、年上のお友達に引けをとらなくなってきました。
ももぐみさんの立派な様子を見ることは、あかぐみさん、あおぐみさん、先生、幼稚園のみんなの喜びです。
 
青い鳥幼稚園に、未就園児クラス「ことり組」ができました。4人の先生は青い鳥幼稚園で長いこと先生であった方たちで、皆さん、ご自分のお子さんを大きく立派に育て上げられていらっしゃいます。
母親との一体感を味わい、愛着の度合いを深めつつある2歳児が、今、生育のどの段階にあって、どのように外の世界から影響を受け、どのように一人一人の未来に影響を与えるのか。2歳児のための集まりには、豊かな体験を持ち、偏りのない愛情に満ちた保育者を必要とします。ふた昔前までは、家族の構成も多層的で、近所の大人に見守られながらの、年齢も違ったこどもで集団ができあがっていました。幼いこどもたちは、見よう見まねのみそっかす時代を通して、緩やかに集団の中に入り込むことができたと思います。
2歳のこどもたちが、次に来るより大きな、より活動的な集団に、元気よく飛び込んでいける場を用意しました。そして、さまざまな子育ての相談も、先生を中心に、お母さん同士、共通の課題として話し合い、問題の解決の糸口を見つけられるような、素敵な集まりになっていくことでしょう。
幼稚園のおともだちも、小さなことりさんたちを歓迎しています。
 今、子育てを支援するために、国を挙げて取り組もうとしています。
しかし、ほとんどの場合、親の立場から問題を解決しようとしています。
長い歴史を通して、ヒトは人間社会を構築してきました。その中に生きることが唯一の選択肢です。
生まれてすぐのヒトは、鋭い感性を頼りにして、手探りで愛情の基地にたどりつこうとしています。
わたくしたち大人は、幼い命の求めに応えて、愛情の抱擁を与え続けなくてはなりません。
 青い鳥幼稚園は、60年にわたって、未来に生きるこどもたちの心の基地であり続けてきました。
これからも、こどもたちひとりひとりの心に、生まれてきた歓びを実感させ、その幸せを、周りの人たちと共有できる、自信と誇りに満ちた未来人間を育てていきたいと願っています。 
 

2012年3月19日)卒園おめでとう

青い鳥幼稚園のあおぐみさんは、ももぐみさんやあかぐみさんの素晴らしいリーダーになってくれました。お誕生会の時は、口を閉じてきちんと「前に習え」をして、静かに前から座る、流れる水のようなみごとさでした。壇の上でプレゼントを頂くときも、記念の写真を撮るときも、まず、あおぐみさんが最初にやって見せてくれました。ももぐみさんもあかぐみさんも、あおぐみさんのおかげで、心配しないでじょうずにできるようになりました。
外で遊んでいるときに、小さなおともだちのおもちゃをとってしまったり、威張って砂場からどかしてしまったりするあおぐみさんを一度もみたことはありませんでした。それどころか、まだ、じょうずに遊べないおともだちを見ると、手をつないであげたり、お話をして一緒にあそんであげたり、ほんとうに偉かったと思います。おかげで、年下のおともだちは、あおぐみさんが大好きで、あおぐみさんがする通り、何でも真似をするようになりました。ももぐみさんもあかぐみさんも、きっとあなたがたあおぐみさんのように、青い鳥幼稚園の素晴らしい仲間になってくれることでしょう。
歌の会、運動会の組体操、遊戯会の素晴らしい出来栄え、そして作品展。見学に来た中学の先生が写生をしているあおぐみさんを見て、「素晴らしい。信じられない。」と言っていたのを思いだします。
自分で考えて、一生懸命作品を作っている幼稚園のこどもたちが、中学生と同じくらい、しっかりした子供に見えたのでしょう。
そこでみなさん、小学校に行ったら、私たちは赤ちゃんではない、自分できちんと考えてあそんだり勉強したりできる、立派なこどもであることを、学校の先生や、大きい生徒たちに教えてあげてください。
小学校の入学式で、背中をぴんと伸ばして、先生のお話を聞くことができることを、みんなに見せてあげてください。お勉強の時間では、青い鳥幼稚園のあおぐみのときのように、口を閉じて、先生の眼を見て、お話をきいてください。
朝、学校に行く時、元気よく、「行ってきます。」 もちろん学校に着いたら、せんせいに、「おはようございます。」 挨拶をするたびに、新しい、楽しい世界のドアーがひらきますよ。そしておうちにかえったら「ただいま。」とげんきのよいあいさつをわすれないでください。それから今日一日のお話がはじまるとよいですね。
小学校学校にはいって、お勉強がはじまります。先生たちが新しい一年生を楽しみに待っていらっしゃいます。子供たちがだいすきで、その上、お勉強の教え方が上手な方たちが選ばれて先生になりました。
あなたたちも、先生をだいすきになりますよ。
お勉強は、ゲームやクイズとよく似ています。初めからしっかり先生のお話を聞いている人が、お勉強上手になります。そして何度も何度も繰り返して練習すれば、先生もお友達もびっくりするくらい、勉強上手になれますよ。
毎日、学校から帰ったら、今日、学校であったこと、習ったことを、おうちの方たちに話してあげてくだだいね。ときどき、幼稚園の先生たちにもお話ししに来てください。
 

2012年2月21日)もうすぐ卒園ですね

幼稚園の3学期は、子供たちにとって希望に燃え立つ季節です。
特に年長組の子供たちは、小学校入学を期待を込めて待ち望んでいます。
卒園式では、自信と希望に満ち溢れた姿を見せてくれることでしょう。
ここでいう卒園は、小学校や中学校などでいう卒業とは少し意味合いが違うと思います。
卒業の「卒」は、終わる、とか、完成する(新漢語林)事を意味しています。
英語で言う卒業「graduation」も、既定の教科課程「grade」を取らせるという意味を持っています。
つまり、算数の九九を覚えて掛け算ができ、当用漢字をすべて覚え、など、あらかじめ決められた段階、等級を習得、完成させた、という意味になります。
幼稚園の卒園式には、そういった「grade」という階段を上らせました、という意味合いはなくて、登り始める準備ができました、という出発の合図です。
米国では、大学の学位授与式を表わす言葉として「commencement(はじまり、出発)」が使われますが、幼稚園の卒園式も、大学と同じ「commencement」であります。
 
友達と仲良くできる方法、おうちの外にいることの楽しさと約束事との関係もわかってきました。
家族の大切さ、自分の心から一歩出て、もう一度自分の心を振り返ってみたり、歌ったり踊ったり、楽しい気持ちを自分の声や体で上手に表すこともできるようになりました。
練習をくりかえし、友達や先生に教えてもらいながら、やってみたい、と強く願う気持ちがあれば、縄跳びや鉄棒、跳び箱もできることがわかりました。
楽しい気持ちや好きな人や物の形を、絵に描いたり粘土細工や工作で作り上げていく楽しさもわかっています。
何よりもうれしいことは、お父さんやお母さん、おうちの人たち、それに先生たち、たくさんの人たちが、自分のことを一生懸命応援してくれていることです。
まだ知らない、不思議がいっぱいの世界を探検するのだ。そして、みんなに喜んでもらえる、素晴らしい人になるのだ。
 
今、こどもたちの心は、温かい太陽の光ややさしい雨の恵みに満たされた、種まきを待つばかりの豊かな大地のように思えます。きっと見事な作物を育て上げてくれることでしょう。

2012年2月18日)作品展開催にあたって

青い鳥幼稚園の作品展が開催されました。どの作品からも制作者のひたむきな心の高ぶりがほとばしり出ています。
一生のなかで、感受性が最も鋭敏な幼児期に、眼や耳、指先、すべての感覚器官を駆使して、自分の周りの世界を探索し、これから先の自分のありかたを模索しています。
外の様子はどうなっているのか、自分はどうすればよいのか、自分で考えて自分の体を使い、自分にとって最も良い行動をとるにはどうすればよいのか。感受性の明かりを頼りに、彼らは未知の世界を飛び回っています。
素晴らしい、しかし手おくれは許されない幼児期です。
こどもたちの描いた絵を、色遣いが良いとか悪いとか、この絵はこう画かなくてはいけない、まずここを書いてからこの色を、などという前に、その作品を書いているときのこどものまなざしを感じ、その時の子供の心のなかを推し量り、作者の気持に共感し、その心の行く先に思いを致すことこそ、私たちおとなの取るべき態度であろうか、と思います。
物知りの先輩の独りよがりな傲慢は、かえって自らを貶めることになりかねません。
こどもたちの作品一つ一つは、こころの記録であり、未来へ向かう怒涛の流れの源流であります。
どうか、ひとつひとつの作品の奥にある、子供の心を読み取ってあげて下さい。

2011年11月16日)よりよい社会人に育てるために

  5歳の男の子が実の父親と叔父に、暴力を振るわれて殺害されたニュースが流れました。
翌朝のテレビでは、被害者の体重が標準の半分しか無く、 十分に食事を与えられていなかったことがつたえられていました。
生まれてからずっと、親の笑顔を探し求めて、最後の日に至るまで、心も、お腹も、どんなにかひもじかったであろう、と 思うと、居ても立っても居られない、激しい怒りと悲しみを覚えます。
家庭内暴力や、育児放棄、愛情欠如は、親からその子供へと繰り返しつたわっていく傾向がある、と言われています。
改めて、園庭で遊ぶこどもたちの一人ひとりに目をやると、どの子も安心して遊びに夢中になっています。
小さな子供たちは、それぞれの好みを持ち寄り、仲良く遊んでいます。
おもちゃの取り合いも力ずくの乱暴も見当たりません。
有名な社会学者が、時の首相中曽根さんの「教育と文化の懇談会」に出席の時、「教育とは自己抑制を教えること」と言ったそうです。
確かに、したい放題、気ままいっぱいのまま大人になったら、人間社会に生存できなくなる事でしょう。
でもヒトは、檻の中の獣とは違って、家族の愛情、中でも母親の限りない愛情に包まれて育ちます。
愛情に満たされて得た満足と安心から生まれた家族への信頼の気持ちが、心の中にしっかりと芽生えていれば、こどもたちは進んで自己抑制の坂道を登っていくことができます。
幼いこどもたちが、家庭から出て初めての社会生活、幼稚園の毎日には、さらなる自己抑制が求められる事になります。
だとすれば、幼稚園では、それに見合う信頼感と安心感がこどもたちの心に育っていなくてはならないと思います。
 幼稚園で、こどもたち一人ひとりの心に、先生や友達から十分な親愛と安心感が与えられた時、こどもたちは自分が大切な社会の一員である事に気づいて、その社会を大切に考え、誇りと自信を持ち、より良い自分を求めて一歩一歩進んでいきます。
そして彼らが次の世代を育成する時にも、自分の歩んできた道筋をしっかりと継承していく事でしょう。
学校法人 敬愛石川学園
青い鳥幼稚園
〒238-0014
横須賀市三春町2丁目6番地
TEL.046-823-1345
FAX.046-823-0413

<学級>
・年少…3歳児
・年中…4歳児
・年長…5歳児
※3歳児未満教室あり
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