園長のことば
2016年2月26日)作品展へようこそ!
幼稚園のこどもたちは、それぞれの一年を、素晴らしい成長の足跡を記しながら、はしりすぎていこうとしています。
ももぐみの天使たちは、背中に付けた家族の暖かい眼差しを双翼にして、あたらしい世界を仲間と連れだって飛び回り、ようちえんの毎日を楽しんでいます。
あかぐみは、日々新しい体験を重ねていく中で、自分の中に育っていく新しい力を発見し、勇気づけられて、たくましい成長を見せています。
最年長のあおぐみは、常に目新しい課題に挑戦する機会をあたえられ、それを成し遂げていく緊張と達成感を推進力に、誇り高く、胸を張って、先頭を走っています。
そして今、すべてのこどもたちは、一世一代の芸術作品を仕上げました。
ひとりひとり、絵筆を握り、または鋏を動かし、粘土をこね、無表情の素材の中に生き生きとした魂を吹き込みました。
前から後ろから、上から下からも確かめ、自分の気持ちにかなうよう修正し、素晴らしい自己研磨の時を過ごしました。
その集中力と目的に向かっていく粘り強さは、それまで受けた御家族やまわりの人たちの暖かい励ましと手助けの中で生まれた自尊心のおかげにほかなりません。そして今、いっぱい積み重ねられた心の中の記録を手掛かりに、それぞれの作品を仕上げました。
人類だけが新しい発想のもとに物を作り、感動を絵画にして仲間の共感を求め、心の高ぶりを土偶や彫像にとどめてきました。
全ての優れた人類の記録は、自分や周りの世界を見つめる作者の心から生まれます。
心の中に蓄えられた感動と喜びのエネルギーを解き放つところ、それが作品展です。展示されている作品の一つ一つから、作者の心の様を、そしてそこに至るまでの作者の心の旅路を、ご覧に下さっているみなさまが読み取ってくださいますよう、願っております。
作品を作り上げているこどもたちは誰もがたのしそうで、そばを通りかかるたびに笑顔を向け、今手がけている自分の作品を自慢げに見せてくれます。今まで気づかなかった自分の中の力が見えてきて、驚きを交えた嬉しい気持ちを味わっているに違いありません。
どのしぐさもかわいらしく自信に満ちていて、日頃からまわりの人たちに大切に思われていることが分かります。
そして自分がそれに応えることができる確信を抱いています。
其の誇らしい気持ちが余裕となって、大胆で独創的な表現がうまれています。ともだちの作品にも敬意を持って接している様子がうかがわれます。
心を伝え心を読み取る、それがどんなに大切で、そしてどんなに沢山の努力が必要であるか、友達が増え、その仲間とより良い間柄を深めていく道筋を探るうちに、次第にわかってきました。
おともだちのできる素敵な良いことは、自分もできるとおもう。自分の力もわかってもらいたい。たくさんの素晴らしい力を身につけて、皆に分けてあげたい。こどもたちは、其の気持ちを心に秘めて毎日を過ごしていることでしょう。
美しいもの、優れたことは、人の心を豊かにします。私たち大人は、自らの振る舞いの中でそれを示し、彼らの心の現れに、そのかがやきの一つ一つに、大きな感動と協賛の気持をしっかりと伝えていかなければならないのだと思っています。
2014年6月7日)幼児教育の孕む危険性
全ての社会の活動における男女の平等、優れた労働力の確保、いずれの面から見ても、緊急の課題となっています。
しかし、立場を変えて、生まれ出てくる新しい立場に立って考えると、自分にとっては、歓迎される度合いの少ない、辛い情けない、淋しい世界が待っている事になってしまうのかもしれません。
芥川龍之介の著書「かっぱ」では、カッパのアカチャンが生まれ出る寸前に、産婆さんがおなかのアカチャンに向かって、「あんた、生まれたいの、それとも生まれたく無いの。どっちかい。」と問い掛けますと、おなかの赤ん坊が、「外の世界は暮らしにくそうだし、父親のわるい遺伝もあるから、生まれるのはやめる。」と言ったりします。
それを聞いた産婆のカッパが、何やら産道に吹き込みます。すると今まで大きかった産婦のおなかがみるみるしぼんで、バツの悪そうな父親を残して何事もなかったように一件落着、となります。
今、日本中で吹きまくる、0歳児からの長時間にわたる保育機関の増設には、大人の立場だけを考えて、生まれ出ずる新しい生命のことをないがしろにしているのではないかと思います。
2013年2月6日)作品展開催にあたって
2012年12月18日)祖父母・父親参観を終えて
2012年10月3日)運動会を終えて
2012年5月17日)新学期が始まりました☆
お誕生日会では、それぞれの学年で、お誕生日をむかえたお友達がみんなからおめでとうの祝福を受けます。その後の自己紹介で、自分の好きなこと、将来の希望を述べます。
全員で集まってのお祝いをしたりされたりするときの整列の様子、お話を聞く態度など、毎月行われる行事ですので、子供たちの成長の進み具合がよくわかります。
4月の誕生会では、3歳のももぐみさんから4歳のあかぐみさん、最年長のあおぐみさん、と入場が進むうちに、ももぐみさんのおしゃべりがだんだん静かになってきました。最後のあおぐみさんが入場して、静かな‘前へならえ’のあと、前から順に、風にそよぐ草原のような無言の着席を済ませるころには、会場全体が、青い鳥幼稚園のお集まりらしく、静かに始まりを待つ、明るいまなざしの子供たちでいっぱいになっていました。
あかぐみさんやあおぐみさんたちは、むかしの自分を、新しく入園してきたももぐみさんの中に感じ取っているのかも知れません。自分たちが大きく立派に成長していることを、後輩の新ももぐみさんに見せてくれました。登園、帰宅のバスの中で、小さいお友達の手をとり顔を覗き込んで話しかけ、困ったことがあったらいつでもぼくがわたしが、と手ぐすね引いて待っているおにいさん、おねえさんの様子が、なんともうれしくありがたいと、先生たちが感激しています。
あかぐみ時代にくらべて、より長く、集中して話を聞き、自分なりの判断や創意工夫を求められている教室でのお勉強や園庭での体操にも、果敢にたちむかっています。
強い自分とやさしい自分、自分の考えと友達の意見、正しいこと、いけないことの見極め方、と、自分たちの世界が広がるにつれて、日々心の中に未来に通じるであろう規範作りが始まっています。
先生たちは一人一人の意欲が高まることを願いながら、注意深い指導をかさねています。
親切に手を差し伸べあっているお友達の優しい気持ちがとてもうれしく思えます。
体操の授業での、始まりと終わりの挨拶、整列の仕方、実技を受ける時の順番の待ち方も、初めてとは思えないくらい、自分で工夫している様子が見えます。
あるお友達が、なぜ朝のお便り帳がももぐみさんのものと同じなのか、不満げに先生に質問しにきました。そこには、今の自分は、ももぐみさんより一段も二段も上を行っているという意気込みが感じられます。
歌声も授業での声の出し方も、そして機敏さを増した体の動き、会話の展開の速さでは、あおぐみさんに負けないものがあり、遊び時間の元気いっぱい、笑い声たくさんのあかぐみさんは一歩一歩、未来に向かっての階段を上っています。
ももぐみさんの教室には,4月のあいだ、園長先生はじめ、たくさんの先生たちが教室にはいっていました。おうちでお母さんやお父さん、家族の皆さんからの愛情でおなかいっぱいになっているかわいい子たちです。どの子にも、おうちの外の世界に、もうひとつ、自分の大好きな居場所を見つけてもらうために、毎年この時期に、子育て経験のある青い鳥幼稚園の先生であったかたたちが、お手伝いにはいってくれます。初めのうちはおもちゃと自分、先生と自分、はやくおうちにかえりたい自分、で満たされていた教室も、5月のハイキング前には、お友達同士の集団ができてきました。ブロックで長い道路を敷設して、何台も自動車を走らせるている集団、本を選んできて、みんなで読んでもらう集まり、仲間がほしくて自分が持っているおもちゃを貸し出してまわる男の子、カラフルなスカートを身につけて、変身をしている一団、毎日、小さな積み木を積み上げることに熱中し、黙っていてもたくさんの助っ人を集めた男の子、そして今は、教室のあちこちに、スカイツリーならぬ積み木ツリーがにょきにょき立っています。
園庭で、ピンクの帽子が、ほかの色に交じって一緒に遊んでいます。朝礼での整列や、お部屋に入るときの歩き方、てあらい、うがい、制服の着替え、どれをとっても大変なことのはずですが、その進歩の速度はおどろくほどです。何よりの力は、いつも変らぬ先生の笑顔と根気強く繰り返される手助けです。今では、口を閉じ、しっかり先生の顔をみて、お話を聞くこともできるようになってきました。おもちゃや道具のおかたづけの速さも、年上のお友達に引けをとらなくなってきました。
ももぐみさんの立派な様子を見ることは、あかぐみさん、あおぐみさん、先生、幼稚園のみんなの喜びです。
母親との一体感を味わい、愛着の度合いを深めつつある2歳児が、今、生育のどの段階にあって、どのように外の世界から影響を受け、どのように一人一人の未来に影響を与えるのか。2歳児のための集まりには、豊かな体験を持ち、偏りのない愛情に満ちた保育者を必要とします。ふた昔前までは、家族の構成も多層的で、近所の大人に見守られながらの、年齢も違ったこどもで集団ができあがっていました。幼いこどもたちは、見よう見まねのみそっかす時代を通して、緩やかに集団の中に入り込むことができたと思います。
2歳のこどもたちが、次に来るより大きな、より活動的な集団に、元気よく飛び込んでいける場を用意しました。そして、さまざまな子育ての相談も、先生を中心に、お母さん同士、共通の課題として話し合い、問題の解決の糸口を見つけられるような、素敵な集まりになっていくことでしょう。
幼稚園のおともだちも、小さなことりさんたちを歓迎しています。
しかし、ほとんどの場合、親の立場から問題を解決しようとしています。
長い歴史を通して、ヒトは人間社会を構築してきました。その中に生きることが唯一の選択肢です。
生まれてすぐのヒトは、鋭い感性を頼りにして、手探りで愛情の基地にたどりつこうとしています。
わたくしたち大人は、幼い命の求めに応えて、愛情の抱擁を与え続けなくてはなりません。
青い鳥幼稚園は、60年にわたって、未来に生きるこどもたちの心の基地であり続けてきました。
これからも、こどもたちひとりひとりの心に、生まれてきた歓びを実感させ、その幸せを、周りの人たちと共有できる、自信と誇りに満ちた未来人間を育てていきたいと願っています。
2012年3月19日)卒園おめでとう
外で遊んでいるときに、小さなおともだちのおもちゃをとってしまったり、威張って砂場からどかしてしまったりするあおぐみさんを一度もみたことはありませんでした。それどころか、まだ、じょうずに遊べないおともだちを見ると、手をつないであげたり、お話をして一緒にあそんであげたり、ほんとうに偉かったと思います。おかげで、年下のおともだちは、あおぐみさんが大好きで、あおぐみさんがする通り、何でも真似をするようになりました。ももぐみさんもあかぐみさんも、きっとあなたがたあおぐみさんのように、青い鳥幼稚園の素晴らしい仲間になってくれることでしょう。
歌の会、運動会の組体操、遊戯会の素晴らしい出来栄え、そして作品展。見学に来た中学の先生が写生をしているあおぐみさんを見て、「素晴らしい。信じられない。」と言っていたのを思いだします。
自分で考えて、一生懸命作品を作っている幼稚園のこどもたちが、中学生と同じくらい、しっかりした子供に見えたのでしょう。
そこでみなさん、小学校に行ったら、私たちは赤ちゃんではない、自分できちんと考えてあそんだり勉強したりできる、立派なこどもであることを、学校の先生や、大きい生徒たちに教えてあげてください。
小学校の入学式で、背中をぴんと伸ばして、先生のお話を聞くことができることを、みんなに見せてあげてください。お勉強の時間では、青い鳥幼稚園のあおぐみのときのように、口を閉じて、先生の眼を見て、お話をきいてください。
朝、学校に行く時、元気よく、「行ってきます。」 もちろん学校に着いたら、せんせいに、「おはようございます。」 挨拶をするたびに、新しい、楽しい世界のドアーがひらきますよ。そしておうちにかえったら「ただいま。」とげんきのよいあいさつをわすれないでください。それから今日一日のお話がはじまるとよいですね。
小学校学校にはいって、お勉強がはじまります。先生たちが新しい一年生を楽しみに待っていらっしゃいます。子供たちがだいすきで、その上、お勉強の教え方が上手な方たちが選ばれて先生になりました。
あなたたちも、先生をだいすきになりますよ。
お勉強は、ゲームやクイズとよく似ています。初めからしっかり先生のお話を聞いている人が、お勉強上手になります。そして何度も何度も繰り返して練習すれば、先生もお友達もびっくりするくらい、勉強上手になれますよ。
毎日、学校から帰ったら、今日、学校であったこと、習ったことを、おうちの方たちに話してあげてくだだいね。ときどき、幼稚園の先生たちにもお話ししに来てください。
2012年2月21日)もうすぐ卒園ですね
2012年2月18日)作品展開催にあたって
2011年11月16日)よりよい社会人に育てるために
翌朝のテレビでは、被害者の体重が標準の半分しか無く、 十分に食事を与えられていなかったことがつたえられていました。
生まれてからずっと、親の笑顔を探し求めて、最後の日に至るまで、心も、お腹も、どんなにかひもじかったであろう、と 思うと、居ても立っても居られない、激しい怒りと悲しみを覚えます。
家庭内暴力や、育児放棄、愛情欠如は、親からその子供へと繰り返しつたわっていく傾向がある、と言われています。
改めて、園庭で遊ぶこどもたちの一人ひとりに目をやると、どの子も安心して遊びに夢中になっています。
小さな子供たちは、それぞれの好みを持ち寄り、仲良く遊んでいます。
おもちゃの取り合いも力ずくの乱暴も見当たりません。
有名な社会学者が、時の首相中曽根さんの「教育と文化の懇談会」に出席の時、「教育とは自己抑制を教えること」と言ったそうです。
確かに、したい放題、気ままいっぱいのまま大人になったら、人間社会に生存できなくなる事でしょう。
でもヒトは、檻の中の獣とは違って、家族の愛情、中でも母親の限りない愛情に包まれて育ちます。
愛情に満たされて得た満足と安心から生まれた家族への信頼の気持ちが、心の中にしっかりと芽生えていれば、こどもたちは進んで自己抑制の坂道を登っていくことができます。
幼いこどもたちが、家庭から出て初めての社会生活、幼稚園の毎日には、さらなる自己抑制が求められる事になります。
だとすれば、幼稚園では、それに見合う信頼感と安心感がこどもたちの心に育っていなくてはならないと思います。
幼稚園で、こどもたち一人ひとりの心に、先生や友達から十分な親愛と安心感が与えられた時、こどもたちは自分が大切な社会の一員である事に気づいて、その社会を大切に考え、誇りと自信を持ち、より良い自分を求めて一歩一歩進んでいきます。
そして彼らが次の世代を育成する時にも、自分の歩んできた道筋をしっかりと継承していく事でしょう。